采葛―詩経国風・王風
彼采葛兮 彼かしこに葛を采らん クズを摘みに行きましょう
一日不見 一日見ざれば 一日会わないと
如三月兮 三月の如し 三月がたったようだもの
彼采蕭兮 彼に蕭ショウを采らん よもぎ摘みに行きましょう
一日不見 一日見ざれば 一日会わないと
如三秋兮 三秋の如し 三つの秋がたったようだもの
彼采艾兮 彼に艾よもぎを采らん よもぎ摘みに行きましょう
一日不見 一日見ざれば 一日会わないと
如三歲兮 三歳の如し 三年がたったようだもの
〈形式分析〉
Ⅰ~Ⅲ彼采[a]兮
一日不見
如三[b]兮
(パラディグム表)
aとbの箇所でパラディグムを変換させ、三つのスタンザに展開させる。パラディグム(範列)は音あるいは意味の類似性をもつ同系列語群である。
a・bの縦の列は音声上の類似性がある(同じ、または似た韻を共通にもつ)。
aの横の列は植物名の同系列語群、bの横の列は時間語の同系列語群である。
各スタンザの第一詩行に植物摘みの定型句を置く。植物摘みモチーフは恋愛の場・状況の設定である。また最初のスタンザには葛をもってくる。葛は他の植物に絡みつく植物であり、二つの植物の合体は象徴的な意味をおびる。葛は代表的な連理モチーフ(結合シンボル)である。
aの箇所で三つの植物が次々に配置されて相手への誘いを増大させ、bの箇所では月→秋→歳と次第に大きくなる時間語を入れ換え、一日という短い時間がどんどん長く感じられる心理が表出される。
植物摘みが目的ではなくただ逢いたいという恋愛感情を歌う詩である。
〈語釈〉
〇葛・・・マメ科の蔓性植物、Pueraria lobata、クズ。蔓は十メートルほどに伸び、他の植物に絡みついてよじ登る。他の植物を枯らすほど強大になって絡みつくことから、渇(水分が尽きる、枯れる)と同源の語として命名された。
〇兮・・・リズムを調節する語。囃し詞のようなもの。
〇蕭・・・キク科の多年草、Artemisia capillaris、カワラヨモギ。陸璣(三国時代の博物家)によれば、このヨモギを燃やすと香気を発するので祭祀に用いられた。神への祈りの象徴となる。
〇三秋・・・三年、または三月。亀井昭陽によれば、月→季節→年と言い換えることにより時間の順序を示したという。次第に増していく時間と考えればよい。
彼采葛兮 彼かしこに葛を采らん クズを摘みに行きましょう
一日不見 一日見ざれば 一日会わないと
如三月兮 三月の如し 三月がたったようだもの
彼采蕭兮 彼に蕭ショウを采らん よもぎ摘みに行きましょう
一日不見 一日見ざれば 一日会わないと
如三秋兮 三秋の如し 三つの秋がたったようだもの
彼采艾兮 彼に艾よもぎを采らん よもぎ摘みに行きましょう
一日不見 一日見ざれば 一日会わないと
如三歲兮 三歳の如し 三年がたったようだもの
〈形式分析〉
Ⅰ~Ⅲ彼采[a]兮
一日不見
如三[b]兮
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Ⅰ |
Ⅱ |
Ⅲ |
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a |
葛 kat |
蕭 sög |
艾 ngad |
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b |
月 ngiuăt |
秋 ts'iog |
歲 hiuad |
aとbの箇所でパラディグムを変換させ、三つのスタンザに展開させる。パラディグム(範列)は音あるいは意味の類似性をもつ同系列語群である。
a・bの縦の列は音声上の類似性がある(同じ、または似た韻を共通にもつ)。
aの横の列は植物名の同系列語群、bの横の列は時間語の同系列語群である。
各スタンザの第一詩行に植物摘みの定型句を置く。植物摘みモチーフは恋愛の場・状況の設定である。また最初のスタンザには葛をもってくる。葛は他の植物に絡みつく植物であり、二つの植物の合体は象徴的な意味をおびる。葛は代表的な連理モチーフ(結合シンボル)である。
aの箇所で三つの植物が次々に配置されて相手への誘いを増大させ、bの箇所では月→秋→歳と次第に大きくなる時間語を入れ換え、一日という短い時間がどんどん長く感じられる心理が表出される。
植物摘みが目的ではなくただ逢いたいという恋愛感情を歌う詩である。
〈語釈〉
〇葛・・・マメ科の蔓性植物、Pueraria lobata、クズ。蔓は十メートルほどに伸び、他の植物に絡みついてよじ登る。他の植物を枯らすほど強大になって絡みつくことから、渇(水分が尽きる、枯れる)と同源の語として命名された。
〇兮・・・リズムを調節する語。囃し詞のようなもの。
〇蕭・・・キク科の多年草、Artemisia capillaris、カワラヨモギ。陸璣(三国時代の博物家)によれば、このヨモギを燃やすと香気を発するので祭祀に用いられた。神への祈りの象徴となる。
〇三秋・・・三年、または三月。亀井昭陽によれば、月→季節→年と言い換えることにより時間の順序を示したという。次第に増していく時間と考えればよい。
〇艾・・・キク科ヨモギ属の多年草、Artemisia argyi、チョウセンヨモギ。もぐさの原料になる。古くから医療に用いられた。葛→蕭→艾は合体のシンボル→祈りのシンボル→治病のシンボルへと変換され、次第に募る恋心を暗示させる。